注意書き
【Twitterお題】
Halcyonがかかねばならぬのは、鼻歌がキーワードの、慰霊碑の前で前戯をするカカイルです。皆が待ってますよ! #こんなカカイルかきます
http://shindanmaker.com/198717 オビトェ
カカシ×イルカ + オビト + ねこ OKな方のみどうぞ><
グッバイバイ
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今日もまた、あの男が来ている。毎日のように現れる白髪頭の忍。
(まぁた、辛気臭せぇ顔してやがる…だから白髪になっちまうんだよ)
人間が「いれいひ」とか言う、石の前で何をするでも無く延々と立ち続けている男。
「にゃぁ~」
瞳だけを動かして、こちらを見たその男は顔の殆どが布で覆われている。目が合うと晒している片目が弓のように弧を描いた。
「今日は団子ないよ」
「うにゃ?」
しゃがんだ男の膝に飛び乗り、鼻をスンスンとさせする。
男は無臭だった。不思議と人間独特の香りもせず、生活感が感じられない。
唯一感じられるのは、かすかな風の匂い。春が近づいてきた3月。冷たい風の中にかすかな花の香りが漂う。そんな匂いがした。
団子を持っているいる日は、もっと甘ったるい匂いを漂わせている。
「ね。嘘じゃないでしょ」
「にゃー」
トンと地面に降りて、今日の収穫はなしと男に背を向けて歩き出す。
「ゲンキンなにゃんこだなぁ」
(こちとら、腹が減っとんじゃ。餌くれねぇ奴に用はねぇ)
尻尾をぶんぶんと振って走り出す。
男が見えなくなる頃に、木陰に人の気配を感じて立ち止まる。
回りを見まわしてみても、誰も居ない。
(確かに何かいたよな…)
気味の悪さにぶるりと身体を震わせて全力疾走で走り去った。
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日が傾く頃、また「いれいひ」の前をパトロールする。
今日はまだ収穫がない。腹ペコだった。
「いれいひ」の前には束ねた髪をひょこひょこさせて、石を磨いている男が見える。近寄るといつもの鼻歌が聞こえてきた。
「ふふっふっふっふ~ん♪ふふっふっふっふ~ん♪」
俺はこの男が好きだった。
週に2度現れるこの男は美味しいものをくれるし、なにより朝に見かける男とは違っていつも笑顔で明るい。
うきうきとステップを踏むように駆け寄る。
「にゃー!」
「お!クロスケ!来たか!今日はサンマだぞ~」
ゴロゴロと喉を鳴らして擦り寄る。
男の服からは太陽の匂いがした。ちゃんと洗濯された生活感を感じる匂いに安心する。
服装から忍である事は間違い無いが、血の匂いがした事はない。
(弱いのかな…?)
猫に心配されているとも知らずに、男は満面の笑みでサンマを取り出す。
「よしよし、骨に気を付けて食うんだぞ」
「にゃ!」
腰に手を当てて、ふんと鼻息を吐くと男は石磨きに戻った。
ぺろりと一匹平らげだ俺は、男が石を磨き終えるの待つ。
横になり毛繕いをしていると、男が横に腰掛けてきた。
「にゃ~」
太陽の匂いがする懐に飛び込み丸くなると、男が話し出す。
「今日はさー、朝からカカシさんと喧嘩しちまって…」
餌を貰う代わりに、話相手を買って出ているのだ。話相手といっても会話が出来るわけではないのだが。
「…寝言で違う男の名前呼んでんだぜ。ひでぇだろ」
「にゃぁ」
相槌のように鳴いてやるだけで、男は満足そうだった。
カカシというのが、畑にあるやつでは無い事は薄々気づいてはいたが男が話す言葉は良くわからない。
理解出来るのは俺を呼ぶ時の「クロスケ」が呼び名である事、「サンマ」、「団子」、「ぎゅうにゅう」とかそういったものだけだった。
しゅんと肩を落とす男の手をペロリと嘗める。
「にゃ」
「そうだよな。俺は悪くないよな…。なんでサンマなんか買っちまったんだろ…」
サンマという単語に耳を立てると、男に笑顔が戻った。
「もう一匹いっとくか?」
「にゃ!にゃ!」
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調子に乗って食い過ぎた。まだ重い腹を引きづるように歩む。
今日は白髪頭の姿が見えない。
(少し寝坊したかな…)
とてとてと「いれいひ」に近づくと、ご丁寧に蓋を開けた容器に団子が用意されていた。
(あいつも中々いいとこあるじゃん!)
「にゃ♪」
しかし、今は空腹ではない。腰を降ろして自分の腹をさすってみても、やはりまだ空腹ではない。
どうしたものかと、あぐねいていると影に身体を覆われた。
「おい、ぶたねこ…それは俺のだ」
気配をまったく感じなかった。
毛を逆立てて振り返ると、ぐるぐるした仮面を付けた男が立っている。
仮面には真っ黒な穴が一つ開いていて、よく見ると奥が赤く光っていた。
勝手に尻尾が丸まっていく。後ろ脚が地面にくっついてしまったように動かない。
「…フギャッ」
辛うじて出た声もとても弱そうで、俺はもう負けたと思った。ちびりそうだった。
「くっくく。そんなにビビるなよ」
仮面を外した男は、その下も仮面のようにぐるぐるしていた。それでも、口の端を上げて笑っている顔に恐ろしい印象は和らぐ。
男は団子の串を掴み上げパクリと食いつく。
(俺の団子~…!)
ギリギリと地面に爪を立てていると、仮面を付け直した男が手を伸ばしてくる。
「ほら、ひとつやるから。睨むんじゃねぇよ」
固まる脚をギクシャクと動かし掌に乗った団子に近寄る。全身黒づくめの、この男もまた無臭だった。
(黒手袋の上で団子が待っている。がんばれ俺…!)
意を決して、ぎゅっと目を閉じると団子にかぶりついた。
何の声もかけられず、怖々と片目を開けると既に男の姿は無かった。
ポトリと団子が地面に落ちる。
きょろきょろと周りをみわして見ても、どこにも居ない。
(消えた…?まさか…、お…おばけ…?)
ヒューと風が通り抜ける音がして、背筋をゾクリとしたものが走る。
俺は落とした団子を咥えて、その場を退散した。
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あの黒づくめのおばけに出会ってから「いれいひ」に行く事を控えていた。
でも、今日は「鼻歌」の日だ。
木陰から木陰に隠れるようにして「いれいひ」に向かう。
いつもとは違うコースから攻めた俺は、珍しいものを目にする。
「ですから……!」
「……違うって言ってるでしょ」
なにやら鼻歌と白髪頭が言い争っていた。
(知り合いだったんだ)
ばちんという音が響いて鼻歌が白髪頭を叩いた。
(…鼻歌強ぇじゃん)
頭を掻いて黙ってしまった白髪頭を置いて鼻歌が歩き出した。
白髪頭の事も気になったが、空腹だった俺は鼻歌を追いかける。
鼻歌は石を磨いてなかった。
がくりと首をうな垂れて腰掛けている。足元にすり寄り声を掛けた。
「にゃー」
「…ごめんな、クロスケ。今日なんもないんだ」
いつもの笑顔が嘘のように悲痛に荒んだ顔の鼻歌にビクリとすると、脇に差し込まれた大きな手に抱き上げられる。
ぎゅうと潰されるんじゃないかと思う程の強い力で抱きしめられて、俺はドキドキしていた。
「ぅにゃ?」
「…俺、女々しかったかな」
(めざし…?くれるの?)
期待を込めて鼻歌の顔をみつめる。
「うん。おとなげなかったかもな」
ぐっと顔をあげて、何かを見つめるようにして頷いた。
「帰るわ。クロスケ、またな」
ぽんぽんと頭を撫でて、鼻歌が立ち上がる。
颯爽と歩く後姿を眺めていると白髪頭が現れて鼻歌の帰り道に立ちふさがった。
くるりと踵を返した鼻歌がこちらに向かってきたので、「いれいひ」の後ろにさっと身を隠す。
なんでって、二人ともすごく怖い顔してたから。
「待ってってば、イルカ先生」
「今は話したくありません!」
声を荒げた鼻歌の腕を引っ張って白髪頭が咬みついた。
(!?…負けるな鼻歌!咬みつき返せ!)
咬みついたまま覆いかぶさる白髪頭の方が身体が大きく優勢に見えた。
「ここで貴方を抱いたら信じてくれますか?」
白髪頭の下で鼻歌が震えている。
(…あいつ、急所を…!なんて卑怯なヤツだ!くそ白髪頭め)
「そういう事を言っているんじゃありません」
「じゃあ、どう言えば分かってくれるの?」
鼻歌を助けるべく、にじりにじりと二人に近づくと、どちらかと言えば白髪頭の方が苦しそうな顔をしている事に気づく。
(なんでだ…?)
「貴方だけだって…、どうすれば信じてくれるの?」
思案している間に、今度は鼻歌の首元に咬みつこうと白髪頭の口が開いた。
(やられる!!)
俺は白髪頭めがけて突進する。
「に゛ゃあ゛ぁぁーーー!!」
「クロスケ!?」
白髪頭の頬にヒットするはずのパンチは宙を掻き、俺は藪の中に突っ込んだ。
「…にゃんこ?」
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白髪頭は素早かった。さすが忍だ。
身体中についたどろぼう草を鼻歌に取って貰っている間、白髪頭を睨み続けて目が疲れてきた。
「おかしいな。動物には好かれる方だったんだけど…」
腕を組んで首を傾げる白髪頭の横で鼻歌が笑う。
「クロスケは、見る目があるなぁ。カカシさんが信用出来ないって分かってるんだ」
よしよしと撫でられて、俺は得意げになる。
「にゃふ!」
「だからぁ、オビトは何でもないって。しかも夢でしょ。覚えてないし」
じとっと白髪頭を一人と一匹の瞳が睨む。
「俺は忘れません。オビトォって言って頬を染めたアンタの事!」
「にゃ」
良くわからないが相槌を打っておく。
「もう!」
鼻歌の手を取って白髪頭が立ち上がった。
「わっ!ちょっと、カカシさん」
「帰りますよ。帰って、俺がどれだけイルカ先生の事が好きか判らせてあげます」
「え。あの…その…」
白髪頭に引き摺られて帰っていく鼻歌は、俺の事を振り返ることもなく去っていく。
淋しさにツキンと胸が痛んだが、鼻歌が元気になってよかった。
ぎゃいぎゃいと遠ざかる二人を眺めていると、また身体を影に覆われた。
「よお。ぶたねこ」
ビクリと肩を震わせる。
俺よりも前に歩み出た影が、影ではなく姿である事を確認した。
(おばけじゃないよな…)
相変わらず全身黒づくめにぐるぐるの仮面。その後ろ姿に、何故か自分と同じ孤独を感じた。
「にゃ…」
「カカシと俺か…ゾッとする、な」
聞こえないくらいの小さな声がぐるぐるの仮面の下から聞こえた。
「おい、団子、食いに行くか」
振り返ったぐるぐるが今度は明瞭な声で話しかけてくる。
団子という単語にトキメイた俺は、ぐるぐるの足元に駆け寄り身体を擦り付ける。
「おら、毛がつくだろ」
軽く脚で弾かれてよろめいたが俺は嬉しくなる。
(ちゃんと脚がある。おばけじゃない!)
すると、鼻歌の歌っていた歌をぐるぐるが歌い出した。
(あれ…?鼻歌が二人になっちまったぞ。…鼻歌1号は「イルカ先生」白髪頭が「カカシ」こいつはNew鼻歌にしとこう)
イルカ先生よりも上手かもしれないその声に耳を傾ける。いつも楽しそうに歌っているイルカ先生は、それ故に音程があやふやだ。なんにせよ、この鼻歌を聴くと勝手に足取りが軽くなる。
リズムに合わせるように尻尾を振っていると、また笑われた。
「なぁ、分かってるのか?この歌、猫を踏むって歌だぞ」
「にゃぁ?」
おまけ的な裏
「はっ…あ、カカシさんっ…おれ、もっ」
ぐちりっと音を立てて、むっちりとした双丘の奥へと差し込まれた指が止まる。
「さっき教えましたよね?―ちゃんと言っください。俺がイルカ先生の事どう思ってるか」
差し込まれていない方の手が、イルカの根元を握り込む。
「ひっ…あ!」
「凄い。どくどくしてる…お尻、気持ちいいですか?」
カカシの言葉に羞恥で顔を背け、日に焼けた肌を耳朶まで紅く染めた。中で回された指の腹が、イルカのいい所を撫で上げる。膨れ上がる射精感に腰を高く突き出し、息を詰まらせた。
カカシの指を咥え込んだままの尻の肉をぎゅうぎゅうと寄せて締め付ける。
「中、うねってきました」
「っん、…言わんでください。…恥ずかしい」
カカシは中でバラバラと動かしていた、二本の指を束にしてピストンさせる。たっぷりと含まさせたローションがまた卑猥な音をたて始める。
指の根元まで深く挿入しながら、残りの指で尻の肉を揺すってやると、脳まで痺れそうな甘いイルカの声がカカシを呼んだ。
既に指では届かない所までもが熱くなり、カカシを求めている。「イルカ先生…早く。…俺も、もう挿れたい…です」
はくはくとイルカの唇が開き、先程教え込まれた台詞を紡いだ。
「…は…たけ、カカシは、うみの…イルカの事が」
カカシは指を抜き去りイルカの脚の間に身を進める。
「―大好きです」
覆い被さるカカシがイルカの首筋を舐めて、紅く染まる耳朶を食む。柔らかい尻の肉を、熱くて固いモノが分け入ってくる。
「ちゃんと信じてくれました?」
こくこくと頷くと額に寄せられた唇に、ちゅっ大袈裟なリップ音を立てて口付けられた。
「イルカ、大好き」
その言葉に、声に、熱に、イルカの胸が切なさにきゅうっとなる。頬にくすぐる銀髪をカカシの頭に腕を回して、さらに引き寄せた。
「はたけ、カカ…シは、うみのイルカを、あい…しています」
ヒクリと身体を震わせたカカシが、ふふっ息を吐く。
カカシから教え込まれたのは「大好き」で「愛しています」は、イルカの願望だった。
イルカはカカシから愛してると言われた事が無い。
「イルカ先生、俺ね、最近任務先で良く貴方の事を思い出します」
ゆっくりと後腔へと沈んで行く熱に、イルカの口からは短かい喘ぎが漏れ、抱え込んだカカシの髪を揺らす。
カカシがしゃべる度に胸元に当たる息にさえ煽られた。
「それが、決まってこうゆう時の顔なんです」
頭を包む腕を掴んで顔を上げたカカシに顔を覗き込まれて、イルカの頬は燃えるように熱くなる。
「今日も、いい顔してる」
「…なっ、なっ…っん!」
全てをイルカの中に収めて這い上がってきたカカシが、馴染ませるように腰で円を描きながら至近距離で見つめてくる。
その熱に濡れた瞳に射抜かれて、視線を逸らす事が出来ずにイルカも睨むようにカカシを見上げた。
「もう、それからは貴方を抱く事しか考えられなくなる。早く帰って、抱きしめよう。いっぱい、いやらしい事しようって、そればっかりです」
「―ッカカシさ…んっ」
イルカの瞳から零れた涙を拭う。
「愛してるって、こうゆう事であってますか?」
イルカは真剣な顔で聞いてくるカカシの頬を両手で包むと、引き寄せキスをする。カカシの薄い唇に舌を這わせて、開いた隙間から咥内に潜り込ませる。
角度を変えて応えるカカシの唾液を舐め取り嚥下した。
「カカシさん、…俺の事、愛してください」
イルカの瞳からは次から次へと雫が溢れ、拭いきれなくなる。
「泣くのは反則です」
瞳を眇めたカカシが拭いきれない涙を舐め、その舌がイルカをゾクゾクと震えさせる。
「可愛い、イルカ。大好き。愛してる」
イルカはカカシの腰に脚を絡めて引き寄せると、自らの欲望をカカシにぶつける。
「もっと…いっぱい…」
「ん、愛してる。愛してるよ、イルカ」
その夜、カカシは紡いだ幾つもの愛してるでイルカを満たした。
fin