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伸びに伸びたカカシの退院日。
カレンダーの31日を見てオビトは、新しいモノと取り替えるべく壁に手をかけます。
お迎えは普段なら寝ている時間だからとカカシに断られました。
しかし寝れる気もせず家の掃除をしながらカカシが戻って来るのを待ちます。
玄関の引き戸が引かれる音に、僅かに早る気持ちを抑えて出迎えます。
「あ、…オビト起きてたんだ」
「おぅ」
気恥ずかしさにカカシの荷物を取り上げると、早く入れよと言って踵を返します。
背中から抱き留められ、お帰りのキスしてくれないのとカカシの拗ねたような声に胸が締め付けられます。
「オレは怒ってんだからな…バカカシ」
「ふふッごめんね」
ただいまと髪の毛にキスをされます。
掃除の最中だったオビトの頭は埃だらけで、ケホッとカカシが咳をこぼします。
「ざまぁみろ」
カカシの腕からするりと逃げたオビト。クリスマスに買ったケーキがあるから食べようと声をかけて台所に逃げ込みます。
「え。食べれるのソレ…」
「食え。責任持って全部食えよ」
「オレ、甘いのダメなんだけど…」
出されたのはブランデーケーキ。これならと、食べてみたもののやはりそこはケーキ。全部は食べ切れずに、オビトも一緒に食べました。
「オビト、今日任務休みなの?」
年末でシフトは独り身の者が優先して任務に出ていましたが、クリスマス以降全て任務に出ていたオビトは三が日までお休みを貰うことが出来ました。
カカシも怪我の休養としてしばらく任務は入らない予定です。チャクラが回復した為、退院したものの絶対安静には変わりありませんでした。
掃除で被ったホコリを落とすべく、風呂に入ると立ち上がったオビトの足がもつれます。
「?」
「…オビト、酔ったんじゃない?」
「ブランデーケーキ如きで…?」
「身体が小さいと回りも早いんじゃないの」
可愛いとクスクス笑うカカシの頬もいつもより上気しているように見えます。
「お前だって顔赤いじゃん」
「そう…?強いの入ってたのかな」
覚束ない足取りのオビトを支えるようにカカシが身を寄せてきます。
「お風呂、一緒に入ろっか」
普段とは違うトーンでそう提案する目が笑ってなくて、やはりカカシも酔ってるのかもしれないとオビトは思いました。

「また大きくなったね」
オビト身体を洗う手が広くなった背中を撫でます。
「うちに来た時はもっと小さかったのに…」
任務に出るようになってからオビトの身体の成長は著しく、少年から青年への成長期を迎えていました。
ザバーっと湯を掛けられ犬のように、ぶるぶると髪を振りました。
「はい、あったまんなさい」
ぺちとお尻を叩かれ、湯船に退散します。
身体を洗うカカシをジッと見つめました。明るいところで見ると今まで気づかなかった無数のキズ跡達が白い肌に刻まれています。
脇腹にはまだ日の浅いキズが痛々しく残っています。
「あの…見られると恥ずかしいんですけど…」
もじもじと股間を隠すカカシに、大袈裟にため息をつくと、後で包帯巻いてやるよと目をそらしました。
カカシが身体を洗い終わると、二人で入るには少し狭い湯船に向かい合うようにして浸かります。
初詣には行くか、おみくじを引こうと言う取り留めのない会話をしているうちに、本格的にブランデーが効いてきたのかオビトが湯船のへりに頭を載せてカカシの言葉にうんしか反応しなくなりました。
「オビト、眠いの?」
近寄ってくるカカシに、オビトはキスしたいと告げます。湯が揺れてカカシの胸にオビトの胸が重なりました。
「…キスしたい。カカシはオレとキスしたい?」
オビトの甘えたような口調に驚きつつ、応えます。
「…もちろん」
近寄ってくるオビトの唇に期待するも、それはそのままカカシの口元を通りすぎ、こめかみの辺りに触れました。
跨ぐように乗り上げられ、オビトの震える吐息を耳に感じます。
兆し始めた性器をお腹に擦り付ける性急な様子にカカシは戸惑いました。
「じゃぁ、セックスは?したい?」
オビトの言葉に喉がヒュッと音を立てて引き攣り応える事が出来ませんでした。
静寂の中、ゴーン、ゴーン…、と時計が2度鳴ったのが聞こえます。まだ昼を少し過ぎたばかりでした。
「何か言えよ…」
黙ってしまったカカシに、不安になったオビトが顔を覗き込みます。
「や…なんだか、夢みたい…オビト、酔ってんでしょ」
「酔ってるかもしんねーけど、正気だ。お前と…したい」
繋がっている事を身体でも確認したい。駄目か?と言うオビトの問いにカカシの瞳が潤みました。
「…カカシ、好きだ」
ホロリとカカシの右眼から零れた涙を指で掬ってやり、想いを込めて口付けをします。
刹那げに自分の名前を繰り返すその唇をあやすように泣き止むまでキスを続けました。
「本当にいいの?」
目元を赤くしたカカシを片眉を上げたオビトが睨みます。
「しつこい。良いって言ってんだろバカカシ」
そろそろ出るぞと、逆上せそうな身体を起こします。
カカシはオビトのお尻を見て、そんな小さいお尻絶対入らないよとこぼし、溜息をつきながら出て行こうとするオビトを呼び止めます。
何だよと引かれた手の方を見やると、風呂のへりに腰掛けたカカシが、やたらと真剣な面持ちで、挿入はしなくても良いと言いました。
「なにを、いまさら…」
と、言いかけるオビトの言葉を遮り、オビトをキズつけたくないと。
「オビト、何処に挿れるか分かってるんだよね」
引き寄せられ、双丘の奥を的確に撫でられ、自然と跳ねる身体を抱きしめられました。
「ここに挿れるんだよ…凄く狭い。無理しなくて良いよ」
(身体何ていくら傷ついても良い)
「欲しいんだ。…カカシ、お前の全部欲しい」
長い指に後孔の縁を撫でられ、身体が震えます。
「…嬉しい。入院中もずっとこうする事ばかり考えてた」
「…変態か」
「オビトが可愛いのがいけないの」
やわやわと指に力を込められて恐い?と聞かれ、ふるふると頭を振りました。
「…じゃあ、準備しようね」